こんにちは、かしゅーです。
今回は、私が大好きな刑事ドラマ『緊急取調室(キントリ)』の第1シーズン第1話を紹介します。
2014年にテレビ朝日系列の木曜ドラマ枠で放送が始まり、2025年10月からは待望の第5シーズン、さらに12月には劇場版の公開も控える大人気シリーズです。
長年ファンとして見続けてきた私にとって、シリーズの原点である第1話は特別な一作です。
人物たちが放つ強い個性――キャスト紹介と化学反応
このドラマを魅力的にしているのは、単なるミステリーやサスペンスではなく、登場人物たちの配置と対立・相性も見どころです。
- 真壁有希子(天海祐希・研音)
取調べと交渉、どちらの顔も持つ異色の刑事。有希子の強さ、脆さ、揺れ動く心情は、天海祐希の演技力によって見事に描かれます。 - 梶山勝利(田中哲司・フリー)
真壁とはバチバチぶつかりながらも、その能力を認める管理官。彼の存在が物語の匙加減を変えるキーとなります。 - 渡辺鉄次(速水もこみち・研音)
捜査現場の最前線を走る刑事役。交渉や証言の線を繋ぐ役割も担い、取調班との関係性が徐々に浮かび上がります。 - 監物大二郎(鈴木浩介・シス・カンパニー)
相棒として捜査を支えるポジション。捜査一課との橋渡し役もこなしながら、チームのチューニングに一役買います。 - 菱本進(でんでん・アルファエージェンシー)、小石川春夫(小日向文世・ファザーズコーポレーション)、中田善次郎(大杉漣・故人)
クセの強い取調班メンバー。それぞれが個性を放ち、真壁との化学反応がドラマを盛り立てます。
このような演者陣だからこそ、セリフひとつ、間ひとつで緊迫感と人間味が同居する瞬間が生まれます。
シーズン1・第1話「名前のない男」――静と動が交差する開幕
物語の冒頭、天海祐希さん演じる真壁有希子が「45歳」と名乗るシーンから始まります。
(ちなみに、2025年の天海さんは58歳。今もなお美しさと貫禄を保ち続けていることに驚かされます。)

天海さんといえば女王の教室が印象的だね。



女王の教室は2005年7月期のドラマとのことです。
真壁は、警視庁・特殊犯捜査係(SIT)の交渉人。
彼女はバスジャック事件の犯人を2時間以上にわたって説得します。優しく語りかけたかと思えば、鋭い言葉で心理を突く。その緩急が実にリアル。
結局、犯人はSITの隊員に肩を撃たれて逮捕されますが、真壁の交渉術の片鱗を見せつける印象的な導入です。
一方その頃、交番に少女が持ち込んだクッキー缶が爆発。
一気にシリアスな空気が流れます。
この事件をきっかけに、真壁は交渉人としての手腕を買われ、同期の梶山勝利(田中哲司)により「緊急事案対応取調班」――通称「キントリ」へ抜擢されます。
可視化された取調室、言葉の戦場
キントリの舞台は、全方向にカメラが設置された“録画・録音つきの取調室”。
真壁たちは「取り調べの可視化」という新制度のもと、密室で容疑者と対峙します。
ここからがこのドラマの真骨頂。



本当の取り調べでもカメラで監視しているの?



2019年から被疑者の取り調べの全過程の録音・録画が義務付けられたそうです。
登場するメンバーは一癖も二癖もあるベテラン刑事たち。
天海祐希さん演じる真壁と、田中哲司さん演じる梶山の軽妙な言い合い、でんでんさんや大杉漣さん、小日向文世さんらの掛け合いもテンポがよく、重い題材ながらコミカルさを忘れない絶妙なバランスです。
真犯人は「僕を思い出してほしい」――不気味なゲームの幕開け
交番爆破の容疑者として浮上したのは弁護士の藤代。
しかし取り調べを受ける彼は「身に覚えがない」と否定。
そんな中、「自分が真犯人だ」と名乗る謎の男(演:高嶋政伸)が自首してきます。
彼は名前を明かさず、ただこう告げるのです。
「僕を思い出してほしい。42時間以内に僕の名前を思い出せなければ、また爆弾が爆発する。」
その言葉と共に始まる“心理ゲーム”。
真壁は冷静に、しかし徐々に焦りを募らせながら、男の心を読み解いていきます。
三つの質問、そして謎の数字「36F」
真壁は男に三つの質問を投げかけます。
「爆発物を仕掛けたのは屋外か、それとも建物の中か?」
男は唾液で書いた「36F」という意味深な答えを残します。
「そこからは何が見える?」と問えば、
「お友達です。みんな静かに眠っています。」
三つ目の質問、「その建物の住所を教えてください」と尋ねると、男は「ヒントではなく、回答を求めるのはルール違反だ」と言い放ち、沈黙。
このやりとりが恐ろしくも美しい。
まるで哲学的な詩のように、真壁と男の会話が精神的な駆け引きとして進んでいきます。
高嶋政伸さんの怪演 ― 不気味で哀しい「狂気の理性」
この真犯人を演じるのが高嶋政伸さん。
その狂気を孕んだ笑みと冷ややかな瞳が印象的です。
ちょうどこの時期、高嶋さんはドラマ『黒革の手帖』(主演:武井咲)にも出演しており、橋田常雄という塾の理事長を演じていました。
こちらでも微笑の裏に狂気を宿した人物を見事に体現しており、「不気味さの中に知性を感じさせる演技」は、まさに高嶋政伸さんの真骨頂。
『緊急取調室』と『黒革の手帖』を見比べてみると、同じ俳優が異なるタイプの“闇”をどう演じ分けているかがわかり、ドラマファンにはたまらないポイントです。
『黒革の手帖』を視聴するならこちら(Netflixなどで配信中)
※作品によっては時期により配信終了している場合があります。
事件の真相と、取調べの核心
真壁は取調べの中で、男が「母親」という言葉に反応していることに気づきます。
調査の結果、真犯人の正体は寺尾という化学者であり、過去に「城東大女子大生ストーカー殺人事件」で冤罪被害を受けていた人物でした。
彼の家では母親の遺影が裏返しに置かれ、冷たい空気が漂う部屋の中に“36F=華氏→摂氏2℃”という意味のヒントが眠っていました。
この“2℃”というキーワードが、監禁されていた渡辺刑事の遺体安置室の温度と一致。
渡辺刑事等が無事に救出され、爆弾も解除することに成功しました。真壁はついに寺尾の罪と心の闇を暴き出します。
そしてラスト、真壁は寺尾に問いかけます。
「どうして、こんなことをしたの?」
涙ながらに訴える天海祐希さんの演技は圧巻。
怒りと悲しみ、そして「人を理解したい」という真壁の信念が溢れ出す瞬間です。



取り調べシーンの真壁は鋭い指摘をするとともに、どこか人間の温かみを感じるね。



そこがこのドラマの見どころでもありますね。
俳優陣の演技と温度差が生む人間ドラマ
この回では小日向文世さんと大杉漣さんの存在感も光ります。
特に小日向さん演じる小石川春夫の落ち着いた言葉には、チーム全体を包み込むような温かさがあります。
小日向さんといえば、草なぎ剛さん主演の名作ドラマ『僕の生きる道』で、末期がんを宣告された主人公を静かに支える医師役を演じていました。
その時の優しいまなざしと、今作で見せる刑事としての冷静さのギャップも見どころ。
小日向さんの演技は“静”の中に感情を秘めるタイプで、見ているこちらまで心を揺さぶられます。
『僕の生きる道』をもう一度観たい方はこちら(TSUTAYA DISCAS / FODなどで配信中)
JUJUのエンディング曲「Door」が締めくくる静寂
第1話のエンディングに流れるのは、JUJUさんの名曲「Door」。
静まり返った取調室の余韻にぴったりのバラードで、真壁たちの戦いが終わった後の“心の静けさ”を見事に表現しています。
この曲が流れる瞬間、ドラマ全体がひとつの映画のように締まるのです。
2025年秋、シリーズ完結へ――新シーズン&映画も注目!
そしてついに、2025年10月16日より第5シーズンが放送スタート。
12月26日には劇場版の公開も決定しています。
過去シリーズを一気見しておくと、新章での人間関係やテーマの深みがより理解できるはず。
「緊急取調室」シリーズを一気見するなら(U-NEXT / TELASA / Amazon Prime Videoなどで配信中)
まとめ ― 言葉の刃で真実を切り裂く、唯一無二の取調べドラマ
『緊急取調室』シーズン1第1話は、まさにシリーズの原点。
心理戦・人間ドラマ・社会性、すべてが詰まった濃密な1時間です。
- 天海祐希さんの圧倒的な演技力
- 高嶋政伸さんの狂気と哀しみ
- チームの掛け合いによる人間味
- そして、「母と子」「真実と嘘」「罪と赦し」という普遍的テーマ
すべてが噛み合い、息を呑むような完成度。
この1話を見終えた頃には、あなたもきっと「次の話を見ずにはいられない」と感じるでしょう。
心を揺さぶる心理ドラマ、『緊急取調室』第1話からぜひ体験してください。









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