こんにちは、かしゅーです。
今回は2025年秋クール、テレビ朝日系・木曜21時放送のドラマ『緊急取調室 season5』を批評していきます。
あの「キントリ」が、再び帰ってきました。
2014年から続く人気シリーズの最新作であり、12月26日には劇場版の公開も控える注目作です。
第1話では報道、政治、インターネット社会といった現代の“リアル”を鋭く描く社会派作品となっています。
豪華キャストが再集結、そして新たな風
シリーズおなじみのメンバーが再集結。
- 真壁有希子(天海祐希)
- 梶山勝利(田中哲司)
- 渡辺鉄次(速水もこみち)
- 監物大二郎(鈴木浩介)
- 磐城和久(大倉孝二)
- 玉垣松夫(塚地武雅)
- 菱本進(でんでん)
- 小石川春夫(小日向文世)
そして第1話では、山本耕史さん演じる報道キャスター・倉持真人が登場。
どんな役にも深みを与える山本さんの存在が、作品に新たな緊張感をもたらします。
そして何よりも、天海祐希さん演じる“真壁有希子”の帰還。
この瞬間を待ち望んでいたファンも多いでしょう。
彼女が再び取調室に立つ――それだけで胸が熱くなります。

緊急取調室といえば毎話毎話の特別ゲストも見どころだね



安達祐実さんが登場する第1シーズンの第3話もおすすめです
第1話のあらすじ:報道と正義がぶつかる
物語は、2023年の病院立てこもり事件から始まります。
特殊犯捜査係の真壁有希子(天海祐希)は、爆弾を持った犯人と交渉中。
一方その外では、報道キャスター・倉持真人(山本耕史)が規制線を越え、現場から犯人に訴えかけるような生放送をしていました。
「報道の自由」と「警察の正義」が真正面からぶつかる――。
事件後、真壁が放った言葉が印象的です。
「事件は見世物じゃない」
この一言こそ、第1話の根幹を貫くテーマ。
現実世界でもSNSでの報道・拡散・炎上が日常化する今、極めて現代的な問題提起でした。



第5シーズンでは政治という切り口があるね。



12月26日放映の映画では政治が重要なキーワードになってきます。
舞台は2025年、“キントリ”再集結
舞台は2025年。
「旧東京放水路再開発計画」という国家プロジェクトの陰で、関係者2名が相次いで殺害されます。
地質学教授・榎本浩と企業常務・吉田晴信。
現場には“作業用ペンチ”が残され、事件は単純な怨恨ではなく、国家事業に関わる“闇”が関与していることが明らかになります。
同時に、ニュース番組『ジャーナル・ゲート』のキャスター倉持が政府批判のコメントを放ち、ネット上では大炎上。
「報道キャスターは何様だ」「国を混乱させるな」――。
正論を言うほど叩かれる、現代日本の縮図がそこにありました。
一方で警視庁では、“緊急事案対応取調室(キントリ)”が正式に再稼働。
真壁、有希子、小石川、菱本らが再び集結します。
小石川(小日向文世)の台詞が深く響きました。
「組織は役割を守らなければ迷走する。なら余計に筋を通さなきゃ。」
真壁は静かに応えます。
「もし私たちの力が被疑者逮捕につながれば、結果として筋は通せると思う。」
ただの刑事ドラマではなく、“生き方”に筋を通すことを描いた群像劇。
このシーンは、シリーズを象徴する名場面といえます。
キャスター・倉持の悲劇──報道の責任とは
ストーリーは急転します。
倉持の自宅が襲撃され、同居していた父親が殺害。倉持自身も重傷を負います。
現場の凶器は「普通のペンチ」。
警察の取調べで、倉持はこう語ります。
「僕と間違えて襲われたのかもしれない。」
報道の自由を貫いた男が、報道の代償を背負う。
彼の姿には、現代社会における「言葉の責任」の重さが投影されています。
そして印象的なのが、彼のセリフ。
「感情を抑えるには、仕事モードに入るのが一番。」
これは、私たち多くの現代人にも共通する“自己防衛の言葉”。
仕事に没頭することで心の平衡を保とうとする――そのリアルが痛いほど伝わってきます。



仕事モードになることで、余計なことを考えなくて済むようになることはあるかも。



私はミスを思い出し不安になるときは、仕事に集中することが良い忘れ方だと思っています。
SNS・DM・ストーカー──ネット社会の闇
倉持は取調室で真壁に、匿名アカウントから届いた不気味なDMを手渡します。
それは事件を予告するような内容で、SNSが現実の犯罪に直結していく不気味さが描かれます。
X(旧Twitter)で話題となった「デスドルノート」など、匿名社会の危うさを想起させる展開。
“便利さ”と“残酷さ”が同居するネットの構造を、ドラマはリアルに映し出していました。
取調室の心理戦が冴えわたる
後半、工事関係者・辻本が容疑者として浮上します。
彼の口から「圧着ペンチ」という言葉が出た瞬間、真壁たちは息を呑みます。
報道されていない情報を知っている――つまり犯行に関与している証拠です。
キントリの取り調べは、単なる尋問ではなく“心理戦”。
「要求を一度受け入れると、次の要求のハードルが下がる」――
このテクニックの駆け引きは、まるでチェスのような知的緊張感に満ちています。



ペンチにもいろいろな種類があるんだね。



工具は似たようなものでも、名称が異なったものであるということが良くあります。
犯人の動機──正義と犠牲
辻本は最終的に犯行を認めます。
その動機は、「100年後の100万人を救うため」でした。
国家事業の安全データ改ざんを知り、声を上げた同僚が左遷された。
「正しいことを言う人間ほど排除される社会」。
この言葉に、多くの視聴者が胸を突かれたはずです。
そして衝撃の展開――倉持の妻・利津子が「義父を殺したのは私です」と自白。
夫婦の愛憎、報道と家庭、正義と罪。
その全てが交錯する結末は、静かに、しかし確実に心を揺さぶります。
心に残る名台詞たち
本作の魅力は、セリフ一つひとつの重さにあります。
「きれいは汚い、汚いはきれい」
「反省していると言うときは、反省していないとき」
矛盾と本音。建前と真実。
人間の曖昧さを突きつけるこれらの台詞は、私たち自身の生き方を照らします。
“本当の言葉”とは何かを考えさせる、シリーズの真骨頂です。
主題歌「My Answer」──緑黄色社会の音が響く
主題歌は緑黄色社会の『My Answer』。
「答えなんて一つじゃない」という歌詞が、真壁の信念と葛藤をまっすぐに重ねます。
明るさと切なさを併せ持つサウンドが、ドラマ全体の余韻を美しく包み込んでいました。
感想:『緊急取調室 season5』は、今を生きる私たちの鏡
『緊急取調室 season5』は、もはや単なる刑事ドラマではありません。
それは、
- SNSで誰かを裁く私たち
- 正義と正論の間で揺れる私たち
- 組織の中で“筋”を通そうと苦しむ私たち
――そのすべての姿を映し出す「社会の鏡」です。
天海祐希演じる真壁有希子を通じて、
「正しさとは何か」「信念とは何か」
を問いかける本作。
テンポや展開にやや既視感がある点は否めませんが、それでも一つひとつの取調べに宿る言葉の重さは健在。
静かな部屋の中で繰り広げられる“言葉の戦い”は、派手なアクションよりもずっと人の心を撃ち抜きます。
シリーズ未視聴の人でも、今作から十分に楽しめます。
むしろ、現代社会に生きる今だからこそ見てほしい作品です。
12月公開の劇場版では、この問いがどのように決着するのか――
「正義とは、声を上げることなのか。沈黙を守ることなのか。」
あなたなら、どちらを選びますか?
▶ 関連情報
『緊急取調室 Season1〜5』は【U-NEXT】【TELASA】【Amazonプライムビデオ】で配信中(※2025年11月時点)
主題歌「My Answer」/緑黄色社会【公式MVはこちら】
関連作:『キャスター』(主演・阿部寛)も報道をテーマにしたおすすめドラマ!
天海さん主演の「トップキャスター」というドラマもおすすめです








コメント